症例報告

同時性一側に発症した乳腺の多形癌と浸潤性小葉癌の1例

吉田　　誠¹　　　三輪　教子²　　　伊藤　卓資³
松岡　宏樹³　　　嶋田　泰尚³　　　山口　俊昌³
坂口　俊也⁴　　　大西　隆仁1

（¹西脇市立西脇病院病理診断科，²同　乳腺外科，³同　外科，⁴同　放射線科）

要旨: 一側に多形癌と浸潤性小葉癌が同時性に発生した乳癌を経験したので報告する。症例は80代女性。右CD領域と右AC領域に腫瘤を認め，乳癌の診断で，右乳房切除，腋窩リンパ節郭清が施行された。組織学的に，右CD領域の腫瘍には多核巨細胞，粘液癌，乳頭状，乳頭腺管癌，扁平上皮癌の所見を認め，多形癌と診断された。右AC領域の腫瘍には浸潤性小葉癌を認めた。これらの腫瘍は，不連続性で組織型の不一致などにより，同時多中心性に発生したものと診断された。多形癌と浸潤性小葉癌の組み合わせは，非常に稀と考えられた。

キーワード:breast cancer, pleomorphic carcinoma, lobular carcinoma

A case of synchronous, unilateral pleomorphic carcinoma and invasive lobular carcinoma of the breast

Makoto Yoshida¹, Noriko Miwa², Takashi Ito³, Hiroki Matsuoka³, Yasunori Shimada³, Toshimasa Yamaguchi³, Toshiya Saka guchi⁴, and Takamasa Ohnishi¹

Departments of ¹Diagnostic Pathology,² Breast Surgery, ³ Surgery, and ⁴Radiology, Nishiwaki Municipal Hospital

（論文受付　2017年10月25日）

（採用決定　2018年8月29日）