症例報告

Renal tubular dysgenesisの1剖検例

中嶋　隆彦　　　西田　健志　　　八田　秀樹
南坂　　尚　　　三輪　重治　　　井村　穣二

（富山大学大学院医学薬学研究部病理診断学講座）

要旨: Renal tubular dysgenesisは胎児腎の近位尿細管の無形成または形成不全をきたす疾患である。胎児の乏尿の結果，妊娠20週から22週ころに高度の羊水過少症をきたし子宮内胎児死亡や新生児死亡に至る。常染色体劣性の遺伝形式をとる家族性発症のほか種々の病態で二次性に発症する。特徴的な腎の組織学的所見を確認することで診断がなされるため出生前の診断は非常に困難である。われわれは原因不明の羊水過少症例で妊娠20週5日に人工妊娠中絶が行われた女児の病理解剖を行い上記と診断した1例を経験したので，発症の背景につき考察を交えて報告する。

キーワード:kidney, renal tubular dysgenesis, autopsy case

An autopsied case of renal tubular dysgenesis

Takahiko Nakajima, Takeshi Nishida, Hideki Hatta, Takashi Minamisaka, Shigeharu Miwa, and Johji Imura

Department of Diagnostic Pathology, Graduate School of Medicine and Pharmaceutical Sciences, University of Toyama

（論文受付　2018年2月8日）

（採用決定　2018年7月6日）