総  説

頭頸部癌におけるHPV感染─分子生物学,診断から治療まで─

横田 知哉

(静岡県立静岡がんセンター消化器内科)

要旨: 頭頸部癌の約90%は扁平上皮癌であり,飲酒と喫煙は頭頸部扁平上皮癌の重要な発症要因であるが,中咽頭癌·口腔癌ではhuman papillomavirus(HPV)感染が発症に関与することが多い。HPV感染は頭頸部扁平上皮癌の予後良好因子であり,重要なバイオマーカーである。本編では,HPV陽性頭頸部癌の診断方法,近年改訂されたHPV陽性中咽頭癌独自の病期分類,HPV陽性中咽頭癌に対する治療強度を弱めた治療の試み,さらにHPVワクチンや免疫チェックポイント阻害剤などの新たな治療開発についても述べる。

キーワード: HPV, p16, smoking, AJCC/UICC 8th, de-escalation


Molecular biology, pathological testing, and treatment for head and neck cancer with human papillomavirus

Tomoya Yokota

Division of Gastrointestinal Oncology, Shizuoka Cancer Center

(論文受付 2018年 8月27日)

(採用決定 2018年 9月 3日)