症例報告

家族性GIST症候群の母子の症例

丹羽　亜弓¹　　　小林　一博²　　　久松　憲治²
鬼頭　勇輔³　　　酒々井夏子²　　　原　　　明¹
宮﨑　龍彦²

（¹岐阜大学大学院医学系研究科腫瘍制御学講座腫瘍病理学分野，²岐阜大学医学部附属病院病理診断科，
³岐阜大学大学院医学系研究科腫瘍制御学講座形態機能病理学分野）

要旨: 患者A，50代女性。幼少期から皮膚に色素斑あり。黒色便や貧血症状を契機に複数の小腸腫瘤が指摘され，小腸部分切除術および腫瘤核出術が行われた。その後も複数の胃·小腸腫瘤に対し，2回の手術が行われた。患者B，Aの母（すでに死去）。複数の胃·小腸腫瘤に対し，二回の胃·小腸部分切除術ないし腫瘤核出術が行われた。いずれの手術材料もGISTと診断され，母子であること，消化管壁にCajalの介在細胞の過形成を認めたこと，皮膚症状から，家族性GIST症候群と診断した。母子の所見を比較し考察を加え報告する。

キーワード:Gastrointestinal, Gastrointestinal stromal tumor, Familial GIST syndrome, Hyperplasia of the interstitial cells of Cajal

A pair case of familial gastrointestinal stromal tumor syndrome

Ayumi Niwa¹, Kazuhiro Kobayashi², Kenji Hisamatsu², Yusuke Kito³, Natsuko Suzui², Akira Hara¹, and Tatsuhiko Miyazaki²

Departments of ¹Tumor Pathology and ³Pathology and Translational Research, Gifu University Graduate School of Medicine
²Pathology Division, Gifu University Hospital

（論文受付　2018年1月9日）

（採用決定　2018年5月29日）