症例報告

発症後22年以上の長期生存を認めた肺類上皮血管内皮腫の1例

越　　浩美¹　　　佐野　孝昭¹　　　原　健一郎²
早田　麻衣¹　　　小山　徹也¹

（¹群馬大学大学院医学系研究科医学部病理診断学，
²群馬大学医学部付属病院内科診療センター呼吸器·アレルギー内科）

要旨: 50代男性。22年前に両肺に多発する小結節の肺生検で小血管腔を形成する胞巣状，索状の腫瘍が認められ，類上皮血管内皮腫と診断された。化学療法を数回施行後無治療で経過したが，今回当院へ紹介された。CTにて両肺，骨および肝臓に多発結節を認め，肋骨腫瘤の生検で初発時と類似した腫瘍が確認され類上皮血管内皮腫と診断された。免疫染色ではCAMTA1が陰性，TFE3が陽性であった。核異型が軽度に強くなり索状構造が目立ったが，初発時と同じ腫瘍と考えられた。初発時と20年後の病理組織像が確認でき，比較検討された症例はきわめて稀と考えられる。

キーワード:Lung, epithelioid hemangioendothelioma, TFE3, histopathology

A patient with pulmonary epithelioid hemangioendothelioma who survived 22 years without treatment

Hiromi Koshi¹, Takaaki Sano¹, Kenichirou Hara², Mai Soda¹, and Tetsunari Oyama¹

¹Department of Diagnostic Pathology, Gunma University Graduate School of Medicine
²Division of Allergy and Respiratory Medicine, Integrative Center of Internal Medicine, Gunma University Hospital

（論文受付　2017年12月28日）

（採用決定　2018年5月1日）