症例報告

鼻腔に生じた鼻硬化腫の1例

湯淺　博登¹　　　荻原　仁美²　　　藤田　祐一²
臼井　美希³　　　馬場洋一郎³　　　村田　哲也³
渡邉　昌俊⁴

（¹三重大学医学部附属病院病理部，²鈴鹿中央総合病院耳鼻咽喉科，³同　病理診断科，
⁴三重大学大学院医学系研究科腫瘍病理学）

要旨: アレルギー性鼻炎や鼻茸のため加療されていた70代男性。臨床的に乳頭腫が疑われ生検された。生検ではわずかに角化傾向を有する重層扁平上皮に被覆された組織で，上皮にはびらんや再生上皮の形成がみられた。上皮下組織には泡沫細胞を主体として形質細胞や好中球を混じる多彩な炎症細胞浸潤がみられた。細胞質内に短桿菌様の構造物を含んだ泡沫細胞が散見された。この構造物はPAS染色では紫色に，メチレン青染色では紫色に染色された。以上より鼻硬化腫と診断した。

キーワード:Rhinoscleroma, Nasal cavity, Enterobacter aerogenes, Histopatholog

A case of rhinoscleroma in nasal cavity

Hiroto Yuasa¹, Hitomi Ogihawa², Yuichi Fujita², Miki Usui³, Yoichiro Baba³, Tetsuya Murata³, and Masatoshi Watanabe⁴

¹Department of Pathology, Mie University School of Medicine and Hospital
Departments of ²Otorhinolaryngology and ³Pathology, Suzuka General Hospital
⁴Department of Oncological Pathology, Institute of Molecular and Experimental Medicine, Mie University Graduate School of Medicine

（論文受付　2018年2月14日）

（採用決定　2018年4月14日）