総　　説

肺癌取扱い規約組織分類改訂の要点─とくに腺癌の浸潤について

大林　千穂

（奈良県立医科大学病理診断学講座）

要旨: 2017年に肺癌取扱い規約組織分類がWHO第4版およびUICC·TNM病期分類第8版に準拠した改訂第8版として出版された。多くの重要な変更点がある中，最も診断者が苦慮するのは浸潤の判定であり，これは腺癌の新たな組織亜型である上皮内腺癌および微少浸潤性腺癌の診断や浸潤径による病理学的T因子の決定に必須である。末梢肺組織の解剖学的特性からこれらの病理診断は難しく，特に小型腺癌の多い本邦では日常的に迷う症例が多いと思われることから，腺癌の浸潤像の見方を中心に改訂の要点を解説した。

キーワード:lung, cancer, classification, invasion

Revisions of the General Rule for Clinical and Pathological Record of Lung Cancer, with special emphasis on peripheral adenocarcinoma invasion

Chiho Ohbayashi

Department of Diagnostic Pathology, Nara Medical University

（論文受付　2018年6月17日）

（採用決定　2018年6月28日）