症例報告

膵insulinomatosisの2例

川畑　　茂¹　　　南口早智子²　　　片岡　竜貴²
馬越　洋宜³　　　羽賀　博典²　　　森吉　弘毅¹

（¹国立病院機構京都医療センター病理診断科，²京都大学医学部附属病院病理診断科，³国立病院機構京都医療センター内分泌代謝内科）

要旨: 膵insulinomatosisは，膵内にインスリノーマのみが多発する特異な疾患であるが，従来は見過ごされがちで病態としての理解は進んでいない。しかし，孤発性インスリノーマとは異なり，びまん性の過形成性変化を母地に発生していると考えられ，再発性の高インスリン血性低血糖症をきたしうることから，臨床的にも重要な病態であると考えられる。今回，我々は膵insulinomatosisと考えられる2例を経験したため，MEN1等との対比を含めて，病理組織像および臨床像について報告する。

キーワード:pancreas, neuroendocrine tumor, insulinoma, insulinomatosis

Two cases of pancreatic insulinomatosis

Shigeru Kawabata¹, Sachiko Minamiguchi², Tatsuki R. Kataoka², Hironobu Umakoshi³, Hironori Haga², and Koki Moriyoshi¹

Departments of ¹Diagnostic Pathology and ³Endocrinology, National Hospital Organization Kyoto Medical Center
²Department of Diagnostic Pathology, Kyoto University Hospital

（論文受付　2017年11月16日）

（採用決定　2018年2月23日）