症例報告

食道Paget病の1例

伊吹　英美¹　　　串田　吉生¹　　　岸野　貴賢²
井上　耕佑¹　　　石川　　亮¹　　　門田　球一¹
香月奈穂美¹　　　藤原　理朗²　　　鈴木　康之²
羽場　礼次¹

（¹香川大学医学部附属病院病理診断科，²同　消化器外科）

要旨: 症例は53歳男性。消化管内視鏡検査で食道に全周性輪状瘢痕を認め，食道亜全摘が施行された。組織学的には，重層扁平上皮内で高度の核腫大や大小不同を示し，淡明な細胞質を有する腫瘍細胞がPaget様進展を示していた。免疫組織化学的に腫瘍細胞はCK18に陽性でd-PAS染色で一部に粘液を認めた。病変は食道に限局し，一部の浸潤巣を除いて上皮内病変が大部分を占めていた。本症例のBarrett粘膜および胃噴門粘膜に悪性所見はみられず，食道Paget病と診断した。

キーワード:esophagus, Paget, Pagetoid spread, adenocarcinoma

A case of Paget’s disease of the esophagus

Emi Ibuki¹, Yoshio Kushida¹, Takayoshi Kishino², Kosuke Inoue¹, Ryou Ishikawa¹, Kyuichi Kadota¹, Naomi Katsuki¹, Masao Fujiwara², Yasuyuki Suzuki², and Reiji Haba¹

Departments of 1Diagnostic Pathology and 2Gastroenterological Surgery, Faculty of Medicine, Kagawa University

（論文受付　2017年6月29日）

（採用決定　2017年11月27日）