症例報告

角膜表層切除組織中に栄養体と嚢子を確認できたアカントアメーバ角膜炎の1例

高島　康利¹　　　木村　雅友²　　　渡邊　敬三³
福田　昌彦³　　　下村　嘉一³　　　清水　重喜²
佐藤　隆夫¹　　　伊藤　彰彦²　　　堤　　　寛⁴

（¹近畿大学医学部附属病院病理診断科，²近畿大学医学部病理学教室，³同　眼科学教室，⁴はるひ呼吸器病院病理診断科）

要旨: アカントアメーバ角膜炎（AK）の角膜組織標本をみることは稀である。病理組織学的に診断できた1例を経験した。ソフトコンタクトレンズ使用中の10歳代男性が眼痛のため受診し，角膜擦過物の培養でAcanthamoeba sp.（AA）が分離同定された。角膜切除組織にAAの栄養体と嚢子が認められ，抗AA抗体の免疫染色で陽性であった。グロコット染色とファンギフローラYで嚢子壁が染色され，病原体の確認に有用であった。角膜炎症例ではAKを鑑別にあげ，特殊染色と免疫染色によるAAの確認が重要である。

キーワード:Acanthamoeba keratitis, cornea, histopathology, Fungiflora Y, immunohistochemistry

A case of Acanthamoeba keratitis with histological detection of trophozoites and cysts

Yasutoshi Takashima¹, Masatomo Kimura², Keizo Watanabe³, Masahiko Fukuda³, Yoshikazu Shimomura³, Shigeki Shimizu², Takao Satou¹, Akihiko Ito², and Yutaka Tsutsumi⁴

¹Division of Hospital Pathology, Kindai University Hospital
Departments of ²Pathology and ³Ophthalmology, Faculty of Medicine, Kindai University
⁴Division of Diagnostic Pathology, Haruhi Respiratory Medical Hospital

（論文受付　2017年8月16日）

（採用決定　2017年10月24日）