症例報告

右肺静脈内に主座を置き左心房内まで達したグロムス腫瘍の稀少な1手術症例

後藤　優子　　　山田　壮亮　　　霧島　茉莉
北薗　育美　　　平木　　翼　　　東　美智代
畑中　一仁　　　谷本　昭英

（鹿児島大学大学院医歯学総合研究科病理学分野）

要旨: 症例は32歳女性。胸部CTで右肺上葉の末梢から右上肺静脈を経て左心房内に達する数珠状の腫瘍を認め，右肺上葉切除が行われた。切除検体では最大4×2cmの白色充実性の腫瘍であった。組織学的には比較的均一な円形核を有する腫瘍細胞が充実性，シート状構造を呈し，免疫組織化学的には vimentin，α-SMA にびまん性に強陽性，laminin，h-caldesmon は一部陽性であった。悪性度不明なグロムス腫瘍が肺静脈を経て心房内に達した症例は過去に報告がない。

キーワード:lung, glomus tumor, malignant, histology

A rare case of glomus tumor of uncertain malignant potential with wide spread into pulmonary vein and reached to atrium

Yuko Goto, Sosuke Yamada, Mari Kirishima, Ikumi Kitazono, Tsubasa Hiraki, Michiyo Higashi, Kazuhito Hatanaka, and Akihide Tanimoto

Department of Pathology Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University

（論文受付　2017年3月16日）

（採用決定　2017年9月26日）