総　　説

死因究明∼病理医が知っておくべき法医学の知識∼

河原　邦光^1,2　　　森田沙斗武²

（¹大阪はびきの医療センター病理診断科，²同科　臨床法制研究室）

要旨: 病理解剖は，従来の内因性疾患症例に加え，外因死との区別の難しい病院到着時心肺停止，突然死，医療事故疑い症例等に適応を拡大しつつあるのが現状である。病理解剖に携わる病理医も，遺体が異状死体であるか否かなどの知識を有したうえで，病理解剖を実施することが必要である。本稿では，病理医が病理解剖を行う際に知っておくべき法医学の知識から，早期死体現象と生活反応を含む外表所見とそれらを用いた死体検案パネル，死体血を用いた一般臨床検査と診断可能な疾患，突然死症例の診断へのアプローチについて概説する。

キーワード:forensic autopsy, early postmortem phenomenon, vital reaction, biochemical blood markers, sudden unexpected natural death

Death investigation∼The forensic knowledge that a pathologist should know

Kunimitsu Kawahara^1,2 and Satomu Morita²

¹Department of Pathology and ²Clinical and Legal Research Office, Osaka Habikino Medical Center

（論文受付　2017年11月30日）

（採用決定　2017年12月18日）