症例報告

ポリープ形態を呈した大腸弾性線維症の2例

大舘　　徹　　　近藤　哲夫　　　望月　邦夫
川井　将敬　　　田原　一平　　　河西　一成
井上　朋大　　　中澤　匡夫　　　加藤　良平

（山梨大学医学部人体病理学講座）

要旨: 胃腸管弾性線維症は粘膜や粘膜下層に弾性線維が集積し，ポリープを形成する稀な非腫瘍性病変であり，弾性線維腫や弾性線維腫様変化とも呼ばれる。今回，我々は大腸ポリープとして内視鏡的粘膜切除術が施行された大腸弾性線維症の2症例を経験したので，その臨床病理学的特徴と病理所見を文献的考察とともに報告する。ポリープ形態を呈する大腸弾性線維症は内視鏡的に神経内分泌腫瘍など粘膜下腫瘍との鑑別が問題となり，大腸における非腫瘍性ポリープの一つとして本疾患の存在を認識する必要がある。

Two cases of gastrointestinal elastosis presenting as colonic polyp

Toru Odate, Tetsuo Kondo, Kunio Mochizuki, Masataka Kawai, Ippei Tahara, Kazunari Kasai, Tomohiro Inoue, Tadao Nakazawa, and Ryohei Katoh

Department of Pathology, University of Yamanashi

（論文受付　2017年5月18日）

（採用決定　2017年8月10日）