症例報告

多形性を示す膵solid-pseudopapillary neoplasmの1例

三石　雄大¹　　　千葉　　諭¹　　　島田　淳一²　　　鷹橋　浩幸¹　　　池上　雅博¹

（¹東京慈恵会医科大学病理学講座，²同　外科学講座）

要旨: Solid-pseudopapillary neoplasm （以下，SPN）は，若年女性に好発する比較的稀な膵腫瘍である。今回，40代男性の膵体尾部に発生したSPNを経験した。径75mmの線維性被膜を有する腫瘤で，組織学的に血管性間質を有する偽乳頭状構造を認め，腫瘍細胞は多核や歪で奇怪な核を有していた。免疫組織化学でp53の過剰発現を認めたが，MIB-1陽性細胞の増加や核分裂像はみられず，pleomorphic SPNと診断した。術後経過は良好で，臨床病理学的には低悪性度の腫瘍と考えられた。

A case report of pleomorphic solid-pseudopapillary neoplasm of the pancreas

Takehiro Mitsuishi¹, Satoru Chiba¹, Junichi Shimada², Hiroyuki Takahashi¹, and Masahiro Ikegami¹

Departments of ¹Pathology and ²Surgery, The Jikei University School of Medicine

（論文受付　2016年12月7日）

（採用決定　2017年5月6日）