症例報告

敗血症性ショック後にびまん性心筋石灰化を認めた成人剖検例

藤田　泰子^1,2　　　松山　高明²　　　川端　健二¹　　　魚嶋　伸彦³　　　吉井　由美³　　　原田　義規²　　　田中　秀央²

（¹パナソニック健康保険組合松下記念病院臨床検査科，²京都府立医科大学大学院医学研究科　細胞分子機能病理学，³パナソニック健康保険組合松下記念病院血液内科）

要旨: 最重症の再生不良性貧血を背景に敗血症性ショックを来した60歳代女性。再生不良性貧血に対し高容量ステロイド等の免疫抑制療法を行ったが血球回復に3ケ月を要し，重篤な消化管感染症を頻発した。入院約3ケ月後から拡張不全を主とした心不全，血圧上昇傾向，約7ケ月後から腎障害出現，高度全身浮腫と胸腹水貯留からの呼吸不全と腎不全で入院11ケ月後に死亡した。病理解剖が行われ，心筋にびまん性微細石灰化を認めた。
　稀ではあるが本例のように成人例でも敗血症後に心筋石灰化を来すことがあり，文献的考察とともに報告する。

Diffuse ventricular myocardial calcification after septic shock:an autopsy case

Yasuko Fujita^1,2, Taka-aki Matsuyama², Kenji Kawabata¹, Nobuhiko Uoshima³, Yumi Yoshii³, Yoshinori Harada², and Hideo Tanaka²

Departments of ¹Clinical Pathology and ³Hematology, Matsushita Memorial Hospital
²Department of Pathology and Cell Regulation, Kyoto Prefectural University of Medicine

（論文受付　2017年3月2日）

（採用決定　2017年4月24日）