症例報告

肺腺癌にびまん性特発性肺神経内分泌細胞過形成を伴った1例

沖田　千佳　　　内野かおり　　　寺田　和弘　　　井関　昭子　　　板倉　淳哉　　　能登原憲司

（倉敷中央病院病理診断科）

要旨: 80歳代，女性。原発性肺癌の疑いで右下葉切除が行われ，置換型腺癌であった。癌部に神経内分泌細胞の増殖胞巣を認め，神経内分泌分化を有する肺癌や反応性の神経内分泌細胞増生を鑑別に挙げたが，非癌部にもtumorletや神経内分泌細胞過形成を認め，びまん性特発性肺神経内分泌細胞過形成と考えた。肺癌切除肺に異型のない神経内分泌細胞増生をみた場合，非癌部を含めた検索や，画像所見の見直しが必要である。

Adenocarcinoma with a concomitant presence of diffuse idiopathic pulmonary neuroendocrine cell hyperplasia:a case report

Chika Okita, Kaori Uchino, Kazuhiro Terada, Akiko Iseki, Junya Itakura, and Kenji Notohara

Department of Anatomic Pathology, Kurashiki Central Hospital

（論文受付　2017年1月26日）

（採用決定　2017年4月13日）