症例報告

肺に多発嚢胞を形成したAL型アミロイドーシスの1例

日向　宗利¹　　　池村　雅子¹　　　阿部　浩幸¹　　　田中麻理子¹　　　牧　　宏彰²　　　黒川　峰夫²　　　中島　　淳³　　　深山　正久¹

（¹東京大学大学院医学系研究科人体病理学·病理診断学，²同　血液·腫瘍内科学，³同　呼吸器外科学）

要旨: 症例は50代女性。画像にて指摘された肺嚢胞状病変の評価目的に胸腔鏡下肺生検が施行された。肉眼的には肺内に3mm大までの嚢胞が多数認められ，組織学的に嚢胞部の血管壁，血管周囲間質や肺胞壁にAL型アミロイドの沈着を認めた。アミロイド沈着部位には軽鎖制限を伴う形質細胞浸潤を認めた。アミロイド沈着による肺胞壁の弾性板の断裂や消失もみられた。肺アミロイドーシスにおいて嚢胞状病変を形成することは稀であるため，文献的考察を加え報告する。

A case of AL amyloidosis presenting as multiple cysts in the lung

Munetoshi Hinata¹, Masako Ikemura¹, Hiroyuki Abe¹, Mariko Tanaka¹, Hiroaki Maki², Mineo Kurokawa², Jun Nakajima³, and Masashi Fukayama¹

Departments of ¹Pathology, ²Hematology and Oncology, and ³Thoracic Surgery, Graduate School of Medicine, the University of Tokyo

（論文受付　2017年3月23日）

（採用決定　2017年4月11日）