症例報告

平滑筋分化を伴った低悪性度子宮内膜間質肉腫の1例

呉　　壮香¹　　　和田　龍一^1,2　　　彭　　為霞^1,2　　　坂谷　貴司²　　　内藤　善哉^1,2

（¹日本医科大学統御機構診断病理学，²日本医科大学付属病院病理診断科）

要旨: 30代，女性。画像所見から平滑筋肉腫および腹腔内播種が疑われ，子宮，両側付属器，大網および腹膜結節切除術が施行された。子宮腔内には10cm大の黄色で弾性軟の隆起性病変がみられ，漿膜および付属器周囲には大小の黄色結節が多発しており，腹膜播種性平滑筋腫症も疑われた。組織学的には核の大小不同を伴う紡錘形細胞が増殖し，tongue-likeパターンもみられた。これらの細胞はCD10陽性であったが，約20%の細胞でdesminとcaldesmonが陽性で，平滑筋分化を伴う低悪性度子宮内膜間質肉腫と診断した。腹腔内の多発病変がある子宮内膜間質肉腫，および腹膜播種性平滑筋腫症の鑑別には，特徴的な組織像と発現マーカーに留意しながら診断すべきと考えられた。

A case of low grade endometrial stromal sarcoma with smooth muscle differentiation

Shoko Kure¹, Ryuichi Wada^1,2, Wei-Xia Peng^1,2, Takashi Sakatani², and Zenya Naito^1,2

¹Department of Integrated Diagnostic Pathology, Nippon Medical School
²Department of Pathology, Nippon Medical School Hospital

（論文受付　2016年10月3日）

（採用決定　2017年3月9日）