総　　説

脳病理解剖をはじめて実施する病理医へ

加藤　信介

（鳥取大学医学部病理学講座脳病態医科学分野）

要旨: 頭皮の前方は眼窩上縁，後方は外後頭隆起の位置まで反転剥離し，頭蓋骨を露出させる。頭蓋骨前額切開平面と後頭側平面の角度が約140度になるように頭蓋骨を切開する。硬膜切除後，大脳前頭葉を嗅球·嗅索と共に前頭蓋窩より持ち上げる。視神経·内頸動脈·下垂体漏斗を切断する。小脳テント切開は側頭骨岩様部錐体にて実施する。遺体から脳神経，椎骨動脈，脊髄を切断する。切離された頭蓋冠·硬膜および脳を水の中に入れ，浮力を利用し，頭蓋冠から硬膜を剥離する。脳の重量を測定した後，10%ホルマリンにて脳を固定する。

A guide to practical techniques of the brain autopsy

Shinsuke Kato

Division of Neuropathology, Department of Pathology, Tottori University Faculty of Medicine

（論文受付　2017年5月20日）

（採用決定　2017年6月12日）