総　　説

非アルコール性脂肪性肝障害（NAFLD）／肝炎（NASH）の肝生検診断の注意点

常山　幸一

（徳島大学大学院医歯薬学研究部疾患病理学分野）

要旨: メタボリックシンドローム患者の急増に伴い，その肝臓での表現型である非アルコール性脂肪性肝障害（NAFLD）や，その重篤型である非アルコール性脂肪性肝炎（NASH）患者が急増している。NAFLD/NASHの診断には，脂肪変性（steatosis）やballooning，Mallory-Denk bodyなどの特徴的な所見に加え，小葉の炎症細胞浸潤（好中球を含む）や，中心静脈周囲に伸びだす繊細な線維化の程度を正確に評価することが重要である。HE染色による形態像に加え，特殊染色や免疫染色などが有用なことがある。NAFLDの中には，自己免疫機序を合併するものや薬剤に起因するものなどもあり，臨床情報も重要である。

Diagnostic clues for Non Alcoholic Fatty Liver Disease （NAFLD） and Non Alcoholic Steatohepatitis by liver biopsy

Koichi Tsuneyama

Department of Pathology and Laboratory Medicine, Institute of Biomedical Sciences, Tokushima University Graduate School

（論文受付　2017年4月18日）

（採用決定　2017年5月15日）