症例報告

腎臓原発の血管肉腫を含む四重癌の1剖検例

佐藤　冬樹¹　　　岩崎　由将¹　　　北田　雄資¹　　　桐山　茂久²　　　峯園　浩二³　　　尾崎　　敬¹　　　村垣　泰光¹

（¹和歌山県立医科大学病理学講座，²新宮市立医療センター外科，³同　内科）

要旨: 60代男性の腎臓原発の血管肉腫を含む四重癌の1剖検例を報告する。右腰部痛を自覚していたが，次第に悪化し右腎周囲に血腫を指摘された。血腫は急速な増大傾向を示し，全身状態の衰弱を招き，死亡された。剖検で，組織学的に腎動脈壁の内膜から異型細胞の増生がみられ，CD31に陽性を示した。腎原発の血管肉腫と診断した。また，他臓器への転移もみられた。肝細胞癌の既往があり，偶発癌として，乳頭状腎細胞癌と前立腺癌を認めた。腎原発の血管肉腫はめずらしく，さらに四重癌の症例は過去にない。文献的考察を加えて報告する。

キーワード: kidney, angiosarcoma, quadruple cancer

A case of primary renal angiosarcoma in quadruple cancer

Fuyuki Sato¹, Yoshiyuki Iwasaki¹, Yusuke Kitada¹, Shigehisa Kiriyama², Koji Minezono³, Takashi Ozaki¹, and Yasuteru Muragaki¹

¹Department of Pathology, Wakayama Medical University School of Medicine
Departments of ²Surgery and ³Internal Medicine, Shingu Municipal Medical Center

（論文受付　2016年12月26日）

（採用決定　2017年2月14日）