症例報告

潰瘍性大腸炎に合併した巨細胞性心筋炎の1剖検例

塩田　拓也¹　　　大西　紘二¹　　　菰原　義弘¹　　　竹屋　元裕¹　　　村山　寿彦²

（¹熊本大学大学院生命科学研究部細胞病理学分野，²国立病院機構熊本医療センター病理診断科）

要旨: 症例は20代男性で，潰瘍性大腸炎のため加療中であった。薬剤性肝障害の加療中に急性心不全のため永眠され，死因解明のため病理解剖が施行された。心は465 gと重量を増し，組織学的に心筋細胞の変性·壊死と高度のリンパ球·好酸球浸潤，多核巨細胞の出現を認め，巨細胞性心筋炎と診断した。巨細胞性心筋炎は原因不明の稀な疾患であるが，自己免疫疾患の合併が多いとされ，本例も潰瘍性大腸炎に合併している。自己免疫疾患を有する患者で急激な心不全がみられた場合は，巨細胞性心筋炎の可能性も考慮する必要があると考えられる。

キーワード: heart, giant cell myocarditis, ulcerative colitis, autopsy

An autopsy case of giant cell myocarditis with ulcerative colitis

Takuya Shiota¹, Koji Ohnishi¹, Yoshihiro Komohara¹, Motohiro Takeya¹, and Toshihiko Murayama²

¹Department of Cell Pathology, Graduate School of Medical Sciences, Faculty of Life Sciences, Kumamoto University
²Division of Surgical Pathology, National Hospital Organization Kumamoto Medical Center

（論文受付　2016年8月17日）

（採用決定　2017年2月10日）