症例報告

悪性中皮腫との鑑別に苦慮した胸膜原発骨外性骨肉腫の1例

西田　浩彰¹　　　樋浦　　徹²　　　川崎　　隆¹　　　本間　慶一¹　　　吉谷　克雄³

（¹新潟県立がんセンター新潟病院病理部，²新潟県立新発田病院内科，³新潟県立がんセンター新潟病院呼吸器外科）

要旨: 70歳男性。胸部CTで右胸腔内に多発腫瘤影を指摘され，当院で摘出術が行われた。組織学的には，胸膜に骨·軟骨形成を示す肉腫が認められた。石綿小体は2,803本/乾燥肺1 gで，石綿曝露があった。免疫染色では，CAM5.2とAE1/AE3の陽性像はごく一部にみられるのみで，WT-1は陰性であった。p16遺伝子のホモ接合性欠失割合は23.7%で，肉腫型中皮腫と比較して低率であった。発生部位と患者背景から肉腫型中皮腫が鑑別に挙げられたが，支持する所見が十分ではなく，胸膜原発の骨外性骨肉腫と診断した。

キーワード: pleura, extraskeletal osteosarcoma, malignant mesothelioma, asbestos

A case of pleural extraskeletal osteosarcoma which is difficult to differentiate from malignant mesothelioma

Hiroaki Nishida¹, Toru Hiura², Takashi Kawasaki¹, Keiichi Homma¹, and Katsuo Yoshiya³

Departments of ¹Pathology and ³Chest Surgery, Niigata Cancer Center Hospital
²Department of Internal Medicine, Niigata Prefectural Shibata Hospital

（論文受付　2016年10月7日）

（採用決定　2017年1月10日）