総  説

免疫チェックポイント阻害剤の開発とトランスレーショナルリサーチ

北野 滋久

(国立がん研究センター中央病院先端医療科)

要旨: 近年,免疫チェックポイント阻害剤の臨床開発が成功をおさめてきている。本剤はT細胞に抑制のシグナルを入れる受容体である免疫チェックポイント分子を抗体でブロックすることにより,抗原提示細胞や腫瘍細胞に発現するリガンドからの免疫抑制のシグナル(ブレーキ)が入らないようにしてT細胞の活性化を持続させて癌を攻撃させる。本剤に特有の自己免疫疾患様の「免疫関連有害事象」が生じることがあるため注意を要する。多くの癌腫において本剤で臨床効果が得られる患者は限られているため,適切な患者選択のためにバイオマーカーの探索が求められている。

キーワード: Cancer immunotherapy, Anti-PD-1 antibody, Anti-PD-L1 antibody, Anti-CTLA-4 antibody


Clinical development of immune checkpoint inhibitors and translational research

Shigehisa Kitano

Department of Experimental Therapeutics, National Cancer Center Hospital

(論文受付 2017年1月4日)

(採用決定 2017年2月22日)