症例報告

眼瞼に発生した上皮内脂腺癌の2例

姫野　北斗¹　　　西田　陽登²　　　小山　雄三²
草場　敬浩²　　　門脇　裕子²　　　荒金　茂樹²
駄阿　　勉²　　　清崎　邦洋³　　　加納　俊祐³
横山　繁生²

（¹大分大学医学部医学科，²同　診断病理学講座，³同　眼科学講座）

要旨: 上皮内脂腺癌の2例を経験したので報告する。症例1は85歳女性の左下眼瞼腫瘍，症例2は86歳女性の上眼瞼結膜腫瘍として切除された。組織学的には，基底細胞様細胞と脂腺細胞への分化を示す明細胞が，表皮·結膜上皮内および毛包·脂腺小葉·アポクリン腺内に限局し，明らかな浸潤はみられなかった。免疫染色で，明細胞はadipophilin陽性を示し，表皮内脂腺癌と診断された。好酸性細胞質を有する類基底細胞からなる表皮内病変は組織学的に極めてBowen病に類似しているので，生検標本での診断には注意が必要である。

キーワード: eyelid, sebaceous carcinoma in situ, differential diagnosis, Bowen disease, adipophilin

Two cases of sebaceous carcinoma in situ of the eyelid

Hokuto Himeno¹, Haruto Nishida², Yuzo Oyama², Takahiro Kusaba², Hiroko Kadowaki², Motoki Arakane², Tsutomu Daa², Kunihiro Kiyosaki³, Shunsuke Kano³, and Shigeo Yokoyama²

¹Faculty of Medicine, Oita University
Departments of
²Diagnostic Pathology and ³Ophthalmology, Faculty of Medicine, Oita University

（論文受付　2016年10月13日）

（採用決定　2016年12月13日）