症例報告

前頭葉に発生し，てんかん原性を示した髄膜腫合併髄膜血管腫症の1例

河原　明奈^1,4　　　伏見聡一郎^1,6　　　板倉　淳哉¹
藤澤　真義¹　　　小林　勝弘^2,5　　　林　裕美子^2,5　　　伊達　　勲^3,5
上利　　崇^3,5　　　柳井　広之⁴　　　松川　昭博¹

（¹岡山大学大学院医歯薬学総合研究科病理学（免疫·第一），²同　発達神経病態学（小児神経科），³同　脳神経外科，⁴岡山大学病院病理診断科，⁵同　てんかんセンター，⁶姫路赤十字病院病理診断科）

要旨: 17歳，男性。てんかん発作を幼少期より繰り返していた。3歳時の頭部CTでは病変を指摘されなかったが，13歳時に左中前頭回の脳表に石灰化を伴う病変を認めた。発作頻度が増したため，17歳時に病変とその直下のてんかん焦点を含む左前頭葉部分切除術が施行された。脳表側では砂粒体と渦巻き状に紡錘形細胞が認められ，移行性髄膜腫であった。大脳側では血管が網目状に増生し，血管周囲には髄膜皮細胞が取り巻く髄膜血管腫症であった。症状や画像の経過より髄膜血管腫症が先行し，その後髄膜腫が合併したと考えられた。

キーワード: brain, epilepsy, meningioangiomatosis, meningioma

A case of epileptogenic meningioangiomatosis with meningioma of the frontal lobe

Akina Kawara^1,4, Soichiro Fushimi^1,6, Junya Itakura¹, Masayoshi Fujisawa¹, Katsuhiro Kobayashi^2,5, Yumiko Hayashi^2,5, Isao Date^3,5, Takashi Agari^3,5, Hiroyuki Yanai⁴, and Akihiro Matsukawa¹

Departments of ¹Pathology, ²Child Neurology, and ³Neurosurgery, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences
Department of ⁴Pathology and ⁵Epilepsy Center, Okayama University Hospital
⁶Department of Pathology, Himeji Red Cross Hospital

（論文受付　2016年8月29日）

（採用決定　2016年12月13日）