症例報告

PEComa様形態を示した卵巣硬化性間質性腫瘍の1例

菅原　太郎¹　　　　杉田真太朗¹　　　　平野　博嗣¹
藤田　裕美¹　　　　瀬川　惠子¹　　　　伊藤夢美香¹
菊地　謙成¹　　　　久保　輝文¹　　　　田中　綾一²
長谷川　匡¹

（¹札幌医科大学医学部病理診断学，²同　産婦人科学講座）

要旨: 30代女性の6cm大の右卵巣腫瘍に対して右付属器摘出術が施行された。組織学的に腫瘍では円形，紡錘形，多辺形，印環細胞様などの多彩な腫瘍細胞が浮腫，線維増生，血管周皮腫様血管を伴い偽分葉状に増殖しており硬化性間質性腫瘍と診断した。免疫組織化学的に腫瘍細胞はMelan-A，α-SMAに陽性であった。淡明な上皮様腫瘍細胞が薄壁性血管を伴い胞巣状，敷石状，索状に増殖するPEComa様成分も一部で認められた。卵巣原発のPEComaは稀であるが，形態の類似性やメラノサイトマーカーの陽性所見から硬化性間質性腫瘍の鑑別疾患に挙げるべき腫瘍と考えられた。

キーワード: ovary, sclerosing stromal tumor（SST）, pseudolobular pattern, Melan-A, perivascular epithelioid cell tumor（PEComa）

A case of ovarian sclerosing stromal tumor with PEComa-like feature

Taro Sugawara¹, Shintaro Sugita¹, Hiroshi Hirano¹, Hiromi Fujita¹, Keiko Segawa¹, Yumika Ito¹, Noriaki Kikuchi¹, Terufumi Kubo¹, Ryoichi Tanaka², and Tadashi Hasegawa¹

Departments of ¹Surgical Pathology and ²Obstetrics and Gynecology, Sapporo Medical University, School of Medicine

（論文受付　2016年9月5日）

（採用決定　2016年10月31日）