症例報告

肉腫成分が横紋筋への分化を示す異所性の左卵管原発癌肉腫の1例

秋田　英貴¹　　　鄭　　子文¹　　　笹島ゆう子²
瀧本　雅文³

（¹公益財団法人東京都保健医療公社豊島病院検査科病理，²帝京大学医学部病院病理部，³昭和大学医学部病理学講座）

要旨: 60歳代女性の左卵管に発生し，骨盤内に進展した腫瘍を経験した。病変は，左卵管と一塊となった変性や壊死の目立つ巨大腫瘍で，組織学的に腺癌成分と肉腫成分を認めた。両者に移行像がみられ，癌肉腫に相当する像を呈していた。免疫組織学的検討で，横紋筋への分化を示す異所性（heterologous）であった。左卵巣，右卵巣，右卵管および子宮に癌肉腫の成分はみられなかった。以上の所見より，左卵管原発の癌肉腫と診断した。卵管原発の癌肉腫は稀であり，文献的考察を加えて報告する。

キーワード: fallopian tube, carcinosarcoma, immunohistochemistry, heterologous type

A case of heterologous carcinosarcoma with rhabdoid differentiation arising from the left fallopian tube

Hidetaka Akita¹, Ja-Mun Chong¹, Yuko Sasajima², and Masafumi Takimoto³

¹Department of Pathology, Tokyo Metropolitan Health and Medical Corporation Toshima Hospital
²Department of Pathology, Teikyo University School of Medicine
³Department of Pathology, Showa University School of Medicine

（受付受付:2016年7月12日）

（採用決定:2016年9月29日）