総　　説

新しい疾患概念NIFTP甲状腺腫瘍分類の境界病変の概念の導入

覚道　健一

（和歌山県立医科大学　近畿大学医学部奈良病院）

要旨: 被包型の甲状腺乳頭癌は予後がいいが，悪性として治療されてきた。濾胞構造が99%以上を占める腫瘍は，被膜浸潤がなく，乳頭癌の遺伝子変化がない時，再発転移はみられず，癌としての治療は必要のない，良性病変と報告された。患者への配慮を込めて，癌の名称を診断名から除き，NIFTPと命名された。甲状腺濾胞細胞由来腫瘍は，従来良性腫瘍と悪性腫瘍の2種類に診断されてきた。新たに境界病変が定義されたことにより，良性，境界病変，悪性の3種類に変更されることとなった。

キーワード: thyroid, borderline lesion, precursor tumor, papillary carcinoma, NIFTP

NIFTP:a borderline and precursor thyroid tumor

Kennichi Kakudo

Department of Pathology and Clinical Medicine, Nara Hospital, Kindai University

（論文受付　2016年4月23日）

（採用決定　2016年7月20日）