総　　説

剖検における神経病理診断─神経内科医の立場から─

尾　昌樹

（埼玉医科大学国際医療センター神経内科·脳卒中内科）

要旨: 剖検による神経病理診断に接する機会が減っていること，臨床サイドと病理サイドとの間とのギャップも生じているために，神経病理診断における適切な診断ステップが踏めていない可能性がある。ここでは，剖検における神経病理診断方法に関し，脳の取り扱い，切り出し方法，免疫染色の意義をまとめた。よくみられる神経変性疾患であるAlzheimer病やLewy小体病（パーキンソン病やLewy小体を伴う認知症）の病理診断指針もまとめた。ブレインバンクの重要性や剖検がしばしば困難であるプリオン病に関しても述べた。

キーワード: Brain, neuropathology, autopsy, brain bank, immunohistochemistry

Autopsy based neuropathology

Masaki Takao

Department of Neurology, Saitama Medical University International Medical Center

（論文受付　2016年8月22日）

（採用決定　2016年9月13日）