症例報告

口腔から吐出されたgiant fibrovascular polypの1例

佐藤　俊之¹　　　米山亜紀子¹　　　内木　幹人²
石倉　直世³　　　伊藤　　誠¹

（¹医療法人豊田会刈谷豊田総合病院病理診断科，²同　耳鼻咽喉科，³名古屋大学医学部附属病院病理部）

要旨: 症例は72歳女性。嘔吐をきっかけに，口腔から長径10 cm強の腫瘤が飛び出したため救急外来を受診した。同日に緊急腫瘤摘出術を施行。腫瘤は，重層扁平上皮に被覆された線維血管性組織と少量の脂肪からなり，fibrovascular polypと診断した。 Fibrovascular polypは下咽頭·食道のまれな良性腫瘤性病変で，巨大腫瘤になると本例のように特異な臨床像を呈しうる。良性病変ではあるが，窒息死のリスクがあり注意を要する。また，低異型度の間葉系肉腫との鑑別が必要になることもある。

キーワード: hypopharynx, esophagus, fibrovascular polyp, giant polyp, regurgitation

Giant fibrovascular polyp presented as a regurgitated mass from the mouth

Toshiyuki Sato¹, Akiko Yoneyama¹, Mikito Naiki², Naoyo Ishikura³, and Makoto Ito¹

Departments of ¹Pathology and Laboratory Medicine and ²Otorhinolaryngology, Kariya Toyota General Hospital
³Department of Pathology and Laboratory Medicine, Nagoya University Hospital

（論文受付　2016年3月22日）

（採用決定　2016年6月2日）