症例報告

胸腺原発MALTリンパ腫の1例

滝　　哲郎¹　　　村瀬　陽太²　　　土山　真里¹
北村　淳子¹　　　鈴木　康彦³　　　小野　謙三¹

（¹公立陶生病院病理診断科，²名古屋第二赤十字病院病理診断科，³公立陶生病院臨床検査部）

要旨: 症例は，40歳代前半の女性。SLE及びAPSの既存症があった。胸部CTにて前縦隔腫瘍が発見され，腫瘤摘出術が施行された。腫瘤は長径10cmで，肉眼的に充実性成分·嚢胞性成分が混在していた。組織学的に，反応性リンパ濾胞の増生とともにcentrocyte-like cellのびまん性増殖がみられ，lymphoepithelial lesionが観察されたため，胸腺原発MALTリンパ腫と判定した。MALTリンパ腫は様々な臓器に発生するが，胸腺原発は稀であるため，文献的考察を加え報告する。

キーワード: thymus, malignant lymphoma, MALT lymphoma

A case of mucosa-associated lymphoid tissue （MALT） lymphoma of the thymus

Tetsuro Taki¹, Yota Murase², Mari Tsuchiyama¹, Atsuko Kitamura¹, Yasuhiko Suzuki³, and Kenzo Ono¹

Departments of ¹Pathology and ³Clinical Inspection, Tosei General Hospital
²Department of Pathology, Japanese Red Cross Nagoya Second Hospital

（論文受付:2016年2月17日）

（採用決定:2016年5月10日）