総 説
深在性真菌症における病理診断の役割
若山 恵
(東邦大学医学部病院病理学講座)
要旨: 近年では,特に糸状菌感染症に対する抗真菌薬の選択において,菌種の推定を含めた病理学的診断が重要な位置を占めている。中でも治療薬の限られているムーコルを確実に診断することが大切である。さらに,アスペルギルスに類似した形態を示す糸状菌の鑑別が問題となってきており,分子生物学的補助診断法を併せて行う機会が増加している。また,輸入真菌症の代表的な原因菌の多くは検査室での培養は禁忌であり,渡航歴に注意すること,特徴的な菌の形態を捉えた診断を行うこと,専門施設に相談することが大切である。
キーワード: filamentous fungi, mucormycosis, endemic mycoses, Cryptococcus gatti, in situ hybridization
Contribution of histopathological diagnosis in deep-seated fungal infection
Megumi Wakayama
Department of Surgical Pathology, Toho Universtiy School of Medicine
(論文受付 2016年5月7日)
(採用決定 2016年6月17日)