症例報告

リウマチ性多発筋痛症に合併した巨細胞性動脈炎が疑われた1剖検例

田澤　咲子¹　　　野呂瀬朋子¹　　　沖野　和麿¹
小林　香映¹　　　塩沢　英輔¹　　　矢持　淑子¹
伊藤　嘉憲²　　　吉田　亮一²　　　瀧本　雅文¹

（¹昭和大学医学部臨床病理診断学講座，²浴風会病院内科）

要旨: 症例は82歳男性。3年前から四肢近位筋の筋力低下および疼痛を自覚しリウマチ性多発筋痛症の診断でステロイド治療を行っていた。肺炎治療中に急激な血圧低下を来たし死亡した。剖検所見で冠動脈に動脈硬化による高度の狭窄と共に内弾性板の破壊を伴うリンパ球，形質細胞やマクロファージの浸潤がみられた。明らかな多核巨細胞の浸潤や肉芽腫性炎はみられなかったが，病歴や血管炎の分布から巨細胞性動脈炎が最も疑われた。

キーワード: coronary artery, giant cell arteritis, polymyalgia rheumatica, autopsy

Coronary arteritis with polymyalgia rheumatica:a case report

Sakiko Tazawa¹, Tomoko Norose¹, Kazumaro Okino¹, Kae Kobayashi¹, Eisuke Shiozawa¹, Toshiko Yamochi¹, Yoshinori Ito², Ryoichi Yoshida², and Masafumi Takimoto¹

¹Department of Pathology, Showa University School of Medicine
²Yokufukai Geneatric Hospital

（論文受付　2015年3月20日）

（採用決定　2015年12月11日）