原　　著

高分化乳頭状中皮腫;その特徴と問題点

相田　真介¹　　　津浦　幸夫²

（¹国際医療福祉大学三田病院病理部，²横須賀共済病院病理部）

要旨: 高分化乳頭状中皮腫（WDPM）について，自験例と文献の検討を行い，以下の結論を得た。1）発症年齢は，悪性中皮腫よりやや若く，女性にやや多いが，極端な男女差はみられない。腹膜発生が多く，胸膜発生は腹膜の半分程度，精巣鞘膜発生も稀にみられ，心膜発生は極めて稀である。2）胸膜発生に関しては石綿曝露との関連が示唆される。3）予後に関しては，孤立性と多発·びまん性で異なり，多発·びまん性では10%程度に悪性化がみられ，孤立性の悪性化は極めて稀である。4）孤立性の診断は通常容易である。多発·びまん性のWDPMと早期の悪性中皮腫とは，悪性マーカーや画像所見を考慮して慎重に鑑別する必要がある。

キーワード: peritoneum, pleura, well differentiated papillary mesotheliom

Well differentiated papillary mesothelioma;its characteristics and problems

Shinsuke Aida¹ and Yukio Tsura²

¹Department of Pathology, Mita Hospital, International University of Health and Welfar
²Department of Pathology, Yokosuka Kyosai Hospital

（論文受付　2015年11月13日）

（採用決定　2015年12月22日）