症例報告

子宮内腔，腹膜に転移を示した卵管原発明細胞腺癌の1例

尾坂　　真¹　　　秋田　貴之¹　　　寺戸　雄一²
矢澤　卓也²　　　菅間　　博²　　　大倉　康男²
西ケ谷順子³　　　百村　麻衣³　　　小林　陽一³
望月　　眞²

（¹杏林大学医学部医学科，²同　病理学教室，³同　産婦人科）

要旨: 卵管原発明細胞腺癌は稀である。今回我々は原発巣の決定に苦慮した1例を報告する。症例は53歳女性。摘出標本では左卵管は全長にわたり拡張し内部に白色腫瘍が充満していた。子宮底部に隆起性病変が存在し，大網，右卵巣表面には播種病変が認められた。いずれも高度な核異型を示し淡明な胞体を有する細胞の増殖が認められた。左卵巣，右卵管に病変は認めなかった。左卵管病変が一番大きく，内腔に広範に乳頭状病変を作ること，左卵管中心の広がりであること，子宮内膜原発の明細胞癌は腹膜播種し難いことから左卵管原発と判断した。

キーワード: fallopian tube, clear cell adenocarcinoma, metastasis

A case of clear cell adenocarcinoma arising from the Fallopian tube which metastases to endometrium and peritoneum

Makoto Osaka¹, Takayuki Akita¹, Yuuichi Terado², Takuya Yazawa², Hiroshi Kanma², Yasuo Ookura², Junko Nishigaya³, Mai Momomura³, Youichi Kobayashi³, and Makoto Mochizuki²

¹Student of Kyorin University, School of Medicine
Departments of ²Pathology and ³Obstetrics and Gynecology, Kyorin University, School of Medicine

（論文受付　2015年8月22日）

（採用決定　2015年11月12日）