症例報告

Glomangiomatosis (diffuse glomus tumor)の1例

大荷 澄江   逸見 明博   山田  勉
杉谷 雅彦   根本 則道

(日本大学医学部病態病理学系病理学分野)

要旨: 症例は20歳男性。主訴は左下腿の腫脹と疼痛。画像所見より左足関節の内側と外側の2ケ所に石灰化を伴う腫瘤がみられ,組織学的には一層の内皮細胞で覆われた多数の血管の増生とその周囲の細胞増殖が線維脂肪組織内に巣状,散在性にみられた。さらに脂肪組織を巻き込むようにびまん性,浸潤性に増殖しており,glomangiomatosis (diffuse glomus tumor)の所見であった。
 グロムス腫瘍は稀に多発し,びまん性,浸潤性に増殖しglomangiomatosis (diffuse glomus tumor)とされ,頻度はグロムス腫瘍の約5%である。皮下組織のみならず内臓臓器を含めた全身での発症例が報告されている。
 臨床的にグロムス腫瘍と診断した症例においては,他の部位における圧痛点を検索し,全身臓器における腫瘍の存在の可能性を考え精査し,多発性病変の有無を十分検索することが必要である。

キーワード: glomangiomatosis, 多発性グロムス腫瘍


Case report of glomangiomatosis (diffuse glomus tumor)

Sumie Ohni, Akihiro Henmi, Tsutomu Yamada, Masahiko Sugitani, and Norimichi Nemoto

Department of the Pathology, Nihon University School of Medicine

(論文受付 2015年9月14日)

(採用決定 2015年11月16日)