原　　著

本邦における病理診断体制のあり方に関する研究─がん診療連携拠点病院の病理医における労働環境の現状調査─

福田　幸子　　　小嶋　基寛　　　落合　淳志

（国立がん研究センター先端医療開発センター臨床腫瘍病理分野）

要旨: 今後，我が国で必要とされる病理診断体制のあり方を検討する目的で，がん診療連携拠点病院を対象にアンケート調査を行い78%の回収率を得た。その内容から病理医の労働環境に関する部分を抽出し，常勤病理医が在籍する275施設のうち，大学病院およびがんセンターを研究教育施設に，それ以外を一般病院に分類して比較検討を行った。その結果，病理医1人あたりの労働時間は診断症例数から推測すると長く，業務負担が大きいと考えられた。今後，労働環境の整備を含む病理診断体制の検討を行う必要があると思われた。

キーワード: Pathological laboratory, Current situation survey, Labor environment

Labor environment of Japanese pathologists, a survey from 309 hospitals

Sachiko Fukuda, Motohiro Kojima, and Atsushi Ochiai

Division of Pathology, Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center

（論文受付　2015年7月27日）

（採用決定　2015年11月13日）