原　　著

子宮内膜癌におけるHER2/neuの発現と臨床病理学的因子との相関に関する検討

一瀬　隆行

（帝京大学医学部産婦人科学講座）

要旨: 我々は，Human epidermal growth factor receptor 2（HER2）の発現について，当院で手術を施行し，インフォームドコンセントにて同意を得た子宮体癌の患者157例を対象として，子宮内膜癌組織において免疫組織化学法（Immunohistochemistry:IHC）を用いて検討した。IHC法による染色強度スコアは乳癌の判定基準に準じて，0から3+に分類し，2+以上を陽性とした。HER2陽性例は，157症例中12例（7.6%）で高異型度の癌およびp53変異例で多く，MSH6変異例では少なかった。HER2陽性例は，組織型に関わらず予後不良の傾向を認めるため，新たなバイオマーカーである可能性が示唆された。

キーワード: uterine endometrium, Her2/neu, histological grade, prognosis, molecular biomarker

Analysis of relationship between HER2/neu expression and clinicopathological characteristics in endometrial cancer

Takayuki Ichinose

Department of Obstetrics & Gynecology, Graduate School of Medicine, Teikyo University

（論文受付　2015年9月8日）

（採用決定　2015年10月15日）