総　　説

浸潤性乳管癌についての考察

堀井　理絵^1,2　　　井上　謙一^1,3　　　秋山　　太^1,2

（¹がん研究会がん研究所病理部，²がん研究会有明病院病理部，³湘南記念病院かまくら乳がんセンター）

要旨: 乳癌は間質浸潤成分の大きさ，形態と乳管内成分の量，広がりとの組み合わせにより，多彩な組織像を呈する。その性状を正確に，しかも可能な限り単純に表現することが組織型分類の要諦である。浸潤性乳管癌は頻度が高く，様々な臨床病理学的性状を示すため，亜分類が必要である。浸潤性乳管癌を乳頭腺管癌，充実腺管癌，硬癌に分ける亜型分類は，リンパ節転移率，予後，intrinsic subtype，画像診断，細胞診断と強く相関する。一方で，乳頭腺管癌は，組織構築が多様で理解しづらい。長所を保存し短所を改善するという視点で亜型分類を見直す必要がある。

キーワード: breast, breast cancer, invasive ductal carcinoma, pathology

Consideration of invasive ductal carcinoma

Rie Horii^1,2, Kenichi Inoue^1,3, and Futoshi Akiyama^1,2

¹Department of Pathology, Cancer Institute, Japanese Foundation for Cancer Research
²Department of Pathology, Cancer Institute Hospital, Japanese Foundation for Cancer Research
³Kamakura Breast Cancer Center, Shonan Memorial Hospital

（論文受付　2015年11月30日）

（採用決定　2015年12月21日）