症例報告

高齢者に発症した若年型顆粒膜細胞腫の1例

増田　正憲　　　山真希子　　　高瀬ゆかり
甲斐　敬太　　　相島　慎一

（佐賀大学医学部病因病態科学講座）

要旨: 60代女性に発症した若年型顆粒膜細胞腫の1例を報告する。腫瘍は20cm大の多房性嚢胞性病変で，淡黄色∼黄白色の充実部を混在していた。組織学的に腫瘍細胞はびまん性，充実性構造ならびに大小の濾胞構造をとりながら増殖していたが，明らかなCall-Exner体は確認できなかった。腫瘍細胞は円形∼卵円形あるいは紡錘形で，比較的豊かな好酸性胞体を有しており，核は多形性に富んでいたが，核溝は明らかではなかった。免疫組織学的にα-inhibin，calretinin，CD56，CD99に陽性で，E-cadherin，β-cateninは陰性であり，若年型顆粒膜細胞腫と診断した。

キーワード: ovary, juvenile granulosa cell tumor, advanced age onset

Juvenile granulosa cell tumor occurred in the elderly

Masanori Masuda, Makiko Yamasaki, Yukari Takase, Keita Kai, and Shinichi Aishima

Departments of Pathology & Microbiology, Saga University Faculty of Medicine

（論文受付　2015年6月29日）

（採用決定　2015年8月14日）