症例報告

血球貪食症候群の合併を認めた組織球性壊死性リンパ節炎の1例

入江　　駿¹　　　新美　寛正²　　　下村　壮司²
藤本貴美子³　　　立山　義朗³

（¹国立病院機構広島西医療センター初期臨床研修医，²同　血液内科，³同　研究検査科）

要旨: 症例は40代前半，男性。16日前からの持続する高熱と頭痛を主訴に来院。入院5日目に汎血球減少をきたし，骨髄検査所見で血球貪食像がみられた。リンパ節生検標本では組織球性壊死性リンパ節炎の像であったが，変性した赤血球様物質の貪食像を伴った。以上より，血球貪食症候群の発症と判断し，ただちにステロイドパルス療法が開始され，すみやかな臨床所見の改善を認めた。組織球性壊死性リンパ節炎は本来自然治癒することが多いとされているが，本例のように血球貪食症候群の合併を認める例も報告されており，的確な組織診断と早期の治療介入が重要である。

キーワード: Lymph node, Histiocytic necrotizing lymphadenitis, Hemophagocytic syndrome, Pulse steroid therapy

A case of histiocytic necrotizing lymphadenitis with hemophagocytic syndrome

Shun Irie¹, Hiromasa Niimi², Takeshi Shimomura², Kimiko Fujimoto³, and Yoshiro Tachiyama³

¹Junior Resident and Departments of ²Hematology and ³Laboratory Medicine and Pathology, Hiroshima-Nishi Medical Center, National Hospital Organization

（論文受付　2015年5月21日）

（採用決定　2015年9月14日）