症例報告

原発性リンパ浮腫の1例

矢吹　　慶¹　　　柴　　瑛介¹　　　澁谷　　亮¹
原田　大史¹　　　松山　篤二¹　　　安田　　浩²
久岡　正典¹

（¹産業医科大学第1病理学，²同　形成外科）

要旨: 症例は50代の男性で，小児期に原因不明の左下肢腫脹が出現し，30代より同部皮膚に腫瘤を伴うようになり，次第に増大してきた。患部の感染と再燃する腫瘤形成に対し計15回の手術加療が繰り返されている。病理組織学的に，表皮の過角化と肥厚，真皮膠原線維の過剰増生，拡張したリンパ管の散在が認められた。文献上，このような形態学的所見を示す皮膚病変に対して統一された診断名が使用されておらず病理診断の現場において混乱を来していると思われる。本例ではその特徴的な臨床症状および発症様式を踏まえ，原発性リンパ浮腫と診断した。

キーワード: skin, lymphedema, histology, immunohistochemistry

A case of primary lymphedema

Kei Yabuki¹, Eisuke Shiba¹, Ryo Shibuya¹, Hiroshi Harada¹, Atsuji Matsuyama¹, Hiroshi Yasuda², and Masanori Hisaoka¹

Departments of ¹Pathology and Oncology, School of Medicine and ²Plastic Surgery, University Hospital, University of Occupational and Environmental Health

（論文受付　2015年4月1日）

（採用決定　2015年9月14日）