症例報告

再生不良性貧血に腸管型ベーチェット病様潰瘍を認めた1剖検例

松本　有機¹　　　小林実喜子²　　　佐野　健司³
仁科さやか⁴　　　菅野　祐幸²

（¹信州大学医学部医学科，²信州大学医学部医学科病理組織学，³信州大学医学部附属病院臨床検査部，⁴信州大学医学部医学科内科学第二教室血液内科）

要旨: 62歳男性。再生不良性貧血に対し免疫抑制療法中，原因不明の発熱·腹痛を認めた。感染症が疑われ加療されたがコントロール不良で死亡した。剖検では，回盲部から口側方向60cmの間に穿孔を伴う潰瘍を認め，腹膜炎を併発していた。骨髄では，血球貪食を示す組織球が多数浸潤しており，造血巣は所々残存し，巨核球に乏しかった。再生不良性貧血や骨髄異形成症候群では，稀に腸管型ベーチェット病様潰瘍を合併することが知られている。今回，再生不良性貧血に腸管型ベーチェット病様潰瘍を認めた剖検例を経験したので報告する。

キーワード: terminal ileum, intestinal Behcet’s disease-like ulcers, aplastic anemia, autopsy case

An autopsy case of aplastic anemia with intestinal Behcet’s disease-like ulcers

Yuki Matsumoto¹, Mikiko Kobayashi², Kenji Sano³, Sayaka Nishina⁴, and Hiroyuki Kanno²

¹Shinshu University School of Medicine
Departments of ²Pathology and ⁴Internal Medicine, Division of Hematology, Shinshu University School of Medicine
³Department of Laboratory Medicine, Shinshu University Hospital

（論文受付　2015年6月19日）

（採用決定　2015年9月10日）