症例報告

一部に偽脂肪芽細胞の出現を認めた横紋筋肉腫成分の過剰増殖を示す子宮ミューラー管腺肉腫（MASO）の1例

前田　悟郎^1,2　　　藤井タケル²　　　山口　辰美²
立野　正敏¹　　　柳内　　充³　　　青木　直子⁴

（¹釧路赤十字病院病理診断科，²同　産婦人科，³市立札幌病院病理診断科，⁴旭川医科大学病理学講座）

要旨: 60代女性。不正子宮出血を主訴に来院し，生検で子宮内膜間質肉腫が疑われたため子宮全摘術を行った。子宮内腔と膣を充満する腫瘍があり，割面は粘液腫様でわずかに筋層浸潤を認めた。組織学的に異型のない上皮成分の増殖と紡錘形の異型細胞の疎な増生による葉状肉腫様構造を認め腺肉腫であった。一部に空胞状胞体を有する脂肪芽細胞類似細胞の増殖を認めた。免疫組織化学でS-100陰性，desmin，myogenin陽性であり，肉腫成分の大部分は横紋筋肉腫と診断した。間葉系腫瘍組織で偽脂肪芽細胞をみることはまれで，脂肪肉腫と診断される可能性がある。

キーワード: uterus, adenosarcoma, rhabdomyosarcoma, pseudolipoblast, myogenin

A case of uterine Mullerian adenosarcoma with sarcomatous overgrowth （MASO） associated with rhabdomyosarcoma and pseudolipoblasts

Goro Maeda^1,2, Takeru Fujii², Tatsumi Yamaguchi², Masatoshi Tateno¹, Mitsuru Yanai³, and Naoko Aoki⁴

Departments of ¹Pathology and ²Gynecology and Obstetrics, Kushiro Red Cross Hospital
³Department of Pathology, Sapporo City General Hospital
⁴Department of Pathology, Asahikawa Medical University

（論文受付　2015年3月10日）

（採用決定　2015年6月19日）