症例報告

若年期の下腿に発生した皮膚毛芽腫の1例

田尻 亮輔   尾山  武   中村 律子
大井 章史

(金沢大学大学院医学研究科分子細胞病理)

要旨: 毛芽腫はきわめてまれな毛包への分化を示す皮膚良性腫瘍である。われわれは25歳女性の下腿に発生した毛芽腫を経験した。本腫瘍は1962年にHeadingtonが提唱し,近年は従来毛胞上皮腫とされた病変を含めて呼称されることもある。正確な頻度は不明だが,頭部特に頭皮に多く発生する。Pubmedを用いて毛芽腫を検索したところ,症例の約3%に下腿発生が認められた。しかし本例のような若年期の下腿発生例はみられなかった。毛芽腫は全身的かつ若年性にも発生する可能性があることをふまえて診断する必要がある。

キーワード: skin, trichoblastoma, leg, young adult


A case of trichoblastoma of the lower leg in young adult

Ryosuke Tajiri, Takeru Oyama, Ritsuko Nakamura, and Akishi Ooi

Department of Molecular and Cellular Pathology, Graduate School of Medical Science, Kanazawa University

(論文受付 2015年2月26日)

(採用決定 2015年6月12日)