症例報告

血行性リンパ節転移が示唆された肝血管肉腫の1剖検例

久米　絢子¹　　　呉　　壮香²　　　岸田由起子²
北原　　慧³　　　長谷川智彦³　　　竹島　雅子³
奥田　純一³　　　寺島　裕夫³　　　鈴木　丈夫⁴
田村　浩一²

（¹九州大学医学部医学科，²東京逓信病院病理診断科，³同　一般·消化器外科，⁴同　放射線科）

要旨: 症例は70歳代男性。右側腹部痛を契機に画像上肝血管腫と診断されていたが，腫瘍から腹腔内への出血にて肝右葉およびS3, 4部分切除を施行した時の病理所見で血管肉腫と病理診断した。同時に前立腺に低分化腺癌を認め，ホルモン療法を開始した。経過観察中に全身多発転移を認めて入院。放射線療法，化学療法とも奏功せず，緩和治療中に消化管出血をきたして3ケ月半後に死亡した。剖検所見で転移はいずれも血管肉腫であった。リンパ節内で腫瘍が既存の血管内皮を置換するように増生しており，リンパ節への血行性転移の可能性を考えた。

キーワード: liver, hepatic angiosarcoma, lymph node metastasis, hematogenous metastasis, autopsy case

An autopsy case of hepatic angiosarcoma with suggested hematogenous lymph node metastasis

Ayako Kume¹, Shoko Kure², Yukiko Kishida², Satoshi Kitahara³, Tomohiko Hasegawa³, Masako Takeshima³, Junichi Okuda³, Hiroo Terashima³, Takeo Suzuki⁴, and Koichi Tamura²

¹Faculty of Medicine, Kyushu University
Departments of ²Surgical Pathology, ³General and Gastroenterological Surgery, and ⁴Radiology, Tokyo Teishin Hospital

（論文受付　2014年9月11日）

（採用決定　2015年4月21日）