症例報告

慢性根尖性歯周炎の治療中に発見された形質芽球性リンパ腫の1例

石川　典由¹　　　天野　知香²　　　長瀬真実子¹
荒木亜寿香¹　　　原田　祐治³　　　中本　　周⁴
徳安　祐輔⁴　　　丸山理留敬¹

（¹島根大学医学部器官病理学，²同　病態病理学，³同　附属病院病理部，⁴鳥取県立中央病院病理診断科）

要旨: 30代男性。歯周および上顎洞炎の治療中に肉芽組織として病理標本に提出された検体から形質芽細胞性リンパ腫と診断された。本疾患は，エイズ関連悪性リンパ腫の1つで口腔内発生例が多く，本腫瘍の中には形質細胞への分化がHE染色のみでは認識しづらいものがあり，CD138，MUM-1などの免疫染色によって初めて表在化する。またCD20，CD79a，Pax5などのB細胞マーカーやCD45（LCA）に対して陰性である症例も比較的多くみられ，誤った診断を防ぐためにもこの疾患単位に対する知識が必要である。

キーワード: Oral mucosa, Plasmablastic lymphoma, EBV

A case of Plasmablastic lymphoma found during the treatment of chronic apical periodontitis

Noriyoshi Ishikawa¹, Chika Amano², Mamiko Nagase¹, Asuka Araki¹, Yuji Harada³, Shu Nakamoto⁴, Yusuke Tokuyasu⁴, and Riruke Maruyama1

Departments of ¹Organ Pathology and ²Functional Pathology, and ³Laboratory of Surgical Pathology, Shimane University School of Medicine
⁴Deparment of Pathology, Tottori Prefectural Central Hospital

（論文受付　2015年1月15日）

（採用決定　2015年4月7日）