症例報告

肛門部尖圭コンジローマおよび高異型度肛門上皮内腫瘍の並存例;ヒトパピローマウイルスDNAの局在解析を含め

高橋　雅恵¹　　　堀口慎一郎¹　　　山澤　　翔¹
山田　　倫¹　　　佐野　直樹¹　　　藤原　　崇²
小泉　浩一²　　　元井　　亨¹　　　比島　恒和¹

（¹がん·感染症センター 都立駒込病院病理科，²同　消化器内科）

要旨: Anal intraepithelial neoplasiaは肛門部の移行帯および扁平上皮領域に発生する上皮内腫瘍で，尖圭コンジローマとともに，ヒトパピローマウイルス（HPV）感染に関連した疾患である。症例は免疫不全状態の60代男性。肛門病変に対して内視鏡的切除が施行された。乳頭状隆起を伴う尖圭コンジローマに一部重複して，平坦な局面を形成するhigh-grade AINが認められた。HPV-DNA局在解析では，2つの局面からはそれぞれリスクの異なるHPVの局在が確認され，形態形成を考察する上で示唆に富む症例であった。

キーワード: anus, anal intraepithelial neoplasia, human papillomavirus, condyloma acuminatum

A case of coexisting high-grade anal intraepithelial neoplasia and condyloma acuminatum;with the detection of HPV DNA localization

Masae Takahashi¹, Shin-ichiro Horiguchi¹, Syo Yamazawa¹, Rin Yamada¹, Naoki Sano¹, Takashi Fujiwara², Koichi Koizumi², Toru Motoi¹, and Tsunekazu Hishima¹

Departments of ¹Pathology and ²Gastroenterology, Tokyo Metropolitan Cancer and Infectious Disease Center Komagome Hospital

（論文受付　2014年11月27日）

（採用決定　2015年3月18日）