症例報告

蜂窩織炎性胃腸炎を併発し，敗血症に至って死亡したと考えられた原発性胆汁性肝硬変の1剖検例

石関　加波¹　　　小林実喜子²　　　下条　久志²
上原　　剛³　　　一條　哲也⁴　　　菅野　祐幸²

（¹信州大学医学部医学科，²同　病理組織学，³同　病態解析診断学，⁴同　内科学第二講座）

要旨: 40代女性。原発性胆汁性肝硬変の治療·経過観察中，短時間で容態が急変し，死亡した。剖検では原発性胆汁性肝硬変末期の像に加えて蜂窩織炎性胃腸炎がみられ，同部には好中球に貪食されるグラム陽性連鎖球菌を認めた。また心臓や脾臓，肺に好中球浸潤がみられ，敗血症の状態と考えられた。蜂窩織炎性胃腸炎はまれではあるものの，死に至ることのある重篤な病態であり，種々の肝不全に合併して起こることが知られている。本症例は，原発性胆汁性肝硬変に蜂窩織炎性胃腸炎を併発し，敗血症に至って死亡したと考えられる。

キーワード: liver, primary biliary cirrhosis, phlegmonous gastroenteritis, sepsis

An autopsy case of primary biliary cirrhosis with sepsis caused by phlegmonous gastroenteritis

Kanami Ishizeki¹, Mikiko Kobayashi², Hisashi Shimojo², Takeshi Uehara³, Tetsuya Ichijo⁴, and Hiroyuki Kanno²

¹Shinshu University School of Medicine
Departments of ²Pathology, ³Laboratory Medicine, and ⁴Medicine, Shinshu University School of Medicine

（論文受付　2014年9月29日）

（採用決定　2015年2月17日）